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コミュニケーションツールとしての“生きた言語”を習得するYBSの子どもたち

2024.12.10

YBS(横須賀バイリンガルスクール)では、英語と日本語のバイリンガルな環境で、日米の子どもたちが日本語と英語をスクールでの生活の中で学んでいます。

 

YBSで大切にしていることの一つは、自分の感情などを自分の言葉で伝えるようになることです。YBSでは、英語も日本語もコミュニケーションのためのツールとして教えています。そのためには、言葉を自分のものにして、適切なタイミングで相手に伝えることが必要です。

 

とはいえ、本当に子どもたちは、言葉を自分のものにして、コミュニケーションを取ることができるのでしょうか?実際にあったストーリーを交えながら、YBSでの語学学習の活動や日々の生活の様子をお伝えします。

 

言葉は学ぶためのものではなくコミュニケーションのツール

YBSでは、テキストを使った語学学習はほとんど行っていません。なぜなら、言葉はコミュニケーションのツールであり、実際の生活の中で使えなければ意味がないと考えるからです。

 

YBSでは、アメリカ人の子どもと日本人の子どもが共に生活をする中で、自然と習得する言葉を“生きた言語”と言っています。テキストを読む中で覚えた言葉ではなく、お友達と遊ぶ中で習得する言葉や、先生にお願いするときの言葉などが“生きた言語”に含まれます。

 

YBSで子どもたちから聞こえる日本語や英語は、教科書やフラッシュカードでは習わないような言葉です。英語と日本語が飛び交うバイリンガルな環境のYBSでは、日々のスクールの生活の中で、このような場面がたくさんがみられます。

“お友達とおもちゃで遊ぶ中で、アメリカ人の子どもが「か〜し〜て」と、お願いをしている”

“お友達が困っていたり、泣いていたりするときは、アメリカ人の子どもが「だいじょうぶ?」と声をかけてあげている”

“お友達に嫌なことをされたときは、日本人の子どももとっさに「No! Stop it!」と、“嫌だ”という気持ちを伝えている”

“アメリカ人の子どもが先生に「これなあに?」と、初めて見るものについて質問している”

“子どもがアメリカ人の先生に「Open please!」と、お弁当のフタを開けてとお願いをしている”

 

このように、YBSでは子どもたちがその瞬間瞬間で相手に伝えなければいけない事、伝えたい気持ちを言葉にしている場面をよく見かけます。

 

このような言葉を子どもたちはどう覚えたのでしょうか?それは、お友達や先生が話しているのを聞いたり、一緒にコミュニケーションをとりながら、自然と覚えていったのです。そして、適切な場面でだんだんと使えるようになっていきます。

 

必ずしも、先生が教えなくても、スクールでの生活で必要な言葉は自然と身につき、自分の言葉にできることを、YBSの子どもたちが教えてくれています。

 

YBSに通うアメリカ人のママから感謝されたストーリー

YBSに通うアメリカ人の子どもたちの多くは、保護者が横須賀の米軍に勤めている方です。そのため、保護者も日本が初めてだったり、これまで全く日本に縁がなかったファミリーがほとんどです。きっと、ママやパパも初めての日本で戸惑うことも多いでしょう。

 

そんな中、YBSに通う3歳のアメリカ人の女の子のママから、こんな話を聞きました。

 

女の子は、家族でお出かけするため電車に乗ってました。そんな時、彼女が大切に持っていたおもちゃを電車の床にぶちまけてしまいました。彼女は悲しくなり泣いてしまいましたが、その時近くにいた日本人がおもちゃを拾ってくれました。その時彼女は、泣きながらも感謝を伝えたくて、日本語で「ありがとうございました」と気持ちをしっかり伝えることができました。

 

その姿をみて、彼女のお母さんは、『きっとYBSに通っていなかったら、こんな状況で感謝を伝えることはできなかったでしょう。』と、彼女の成長に驚きつつ、YBSへの感謝を伝えてくれました。

 

心と心を通わせて学ぶ言語だからこそ習得できる

上記のストーリーからもわかるように、YBSの子どもたちが外国語を発するとき、そこには“伝えたい”という想いがあります。伝えたいという想いで発した言葉が、文法的に正しいかどうかなどは重要ではありません。

 

本当に使える“生きた言語”というのは、言葉に想いがこもっていて、自分のものにしていることだと考えています。たとえ、どんなにたくさんの単語を知っていても、使うべき時に使えないと、その言葉には意味がないのです。

 

そのような“生きた言語”というのは、心と心を通わせる生活の中で培われていくものです。つまり、どんな環境で生活をするかが重要な鍵となります。テキストやフラッシュカードで学ぶような英会話や、一般的な家庭で、“生きた言語”を習得するには限界があるでしょう。

 

生活の中で言葉を習得できるように、YBSではアメリカ人の子どもと日本人の子どもが一緒に遊んだり、学んだりする環境があります。さらに、各クラスにはアメリカ人と日本人の担任の先生がいて、子どもたちは言葉を大人からも学ぶことができます。

 

“生きた言語”を習得できる環境を作ることで、子どもたちのコミュニケーションの幅を広げることができます。そして、YBSで学んだ子どもたちが、自分の可能性を開き続け、世界で活躍できる大人になってくれることを私たちは願っています。