2023.2.23
YBS(横須賀バイリンガルスクール)が大切にしていることの1つとして、「異文化体験」があります。
日本人とアメリカ人の子どもたちが多く在籍するYBSでは、日本の文化についての学びも、海外の文化と同様に、学ぶ時間を大切にしています。
アメリカ人の子どもには、「より日本を知って、好きになってもらいたい」という想いで、日本語はもちろん、日本の文化を学んだり、体験したりする活動や授業を用意しています。
また、日本人の子どもにとっても、自分たちの国の文化に誇りを持ってもらえるよう、アメリカ人の子どもたちと一緒に、日本の文化を学んだり、体験したりしています。
コロナ禍で地域との交流や伝統イベントなどの中止が続く中、子どもたちの経験の場が少なくなってるからこそ、スクールの活動の中でいかに子どもたちにたくさん経験をさせてあげられるか、それが先生たちにとっての新たな挑戦にもなっています。
1月には、日本の伝統的なお正月遊びを、各クラスで行いました。
日本人の子どもたちにとっても新鮮な体験になったようで、日本人の子どもたちも、アメリカ人の子どもたちも、ワクワク感に溢れた楽しそうな表情がみられました。
さて、各クラスでどんな日本のお正月の伝統を体験したのでしょうか?いくつかのクラスの様子をお伝えします!
アート活動においては、日本のお正月の伝統的な文化を紹介、体験させたいと考えました。今まで駒回しや凧揚げ、干支のデザイン等数々のチャレンジをしてきましたが、今回は羽子板のデザインをさせてみました。ただ単に伝統的な日本の美意識のみをなぞるのではなく、YBSらしい取り組みを考えました。
スカジャンなどにみられるアメリカンな日本物、トラや鳳凰、龍などのオリエンタルなモチーフであったり、中国の旧正月の影響だったりをミックスしたものなど。
羽子板はバルサ材を切り出し、シンプルな外形形状にし、大中小のサイズを取り揃えてキンダーから6年生まで楽しめるようにしました。
サンプルとしてシンプルに千代紙などを張っただけのものから、龍や舞妓さんの形をレリーフにしたものまで準備し、幅広い年齢層に簡単にアクセスでき、作ってみたいと思わせるようにしました。
子どもたちの授業での食いつきは各学年ともに素晴らしく、龍のレリーフは「難しいかな」と思っていましたが、1年生でもチャレンジする子がいて、いつもながら結構な出来に仕上がっていてまたしても驚かされました。
5年生のアメリカ人の女の子は「先生、漢字でLOVEはどう書くの?」と訊いてきたので、「愛」とホワイトボードに書いたら「愛」とレリーフしており、とても奇麗でした。早速お父様に見せて喜ばれたとのこと。
3年から6年の男の子たちにも龍のレリーフは大評判で、休み時間には今でも羽根つきでバトルして楽しんでいます。
キンダーの子たちには事前にまずはマーブリングで奇麗な和紙を準備しておきました。それを千代紙と一緒に手でちぎってノリ付けをしたのですが、簡単な工程で驚きの出来になり、みんな大喜びでした。
もちろん中には紙を貼ることがうまくできない子もいたのですが、先生の手伝いは最小限にし、自分でチャレンジしてもらいました。授業が終わるころにはすっかり自分で出来るようになっているので頼もしいですね。
エレメンタリーの授業で、書初めを行いました。
W&Nクラスではまず、書き初めの由来、歴史的背景、やり方について学ぶ中で日本の伝統文化に触れました。そして、年初めの国語の時間に、日本の文化に誇りを持ち、漢字への関心を高めることを狙いとして、書き初めを行いました。
一般的には、既製品の墨が使われますが、今回は実際に硯を使いました。硯の陸に、水を少量ずつ落としながら、その水を使って墨を磨く事で、墨を作る難しさを感じてもらいました。
水加減、擦り具合によって文字の濃さが変わる事を実感した子ども達は、昔の時代に生きた人々の工夫と大変さを身をもって感じる事ができたようでした。『墨って簡単に作れると思ったのに、なんか意外と大変。』『なって欲しい濃さにならない。』『ゆっくりやらないと、色んなとこに飛ぶ…』という意見がたくさん出ました。
先生としても、子ども達が積極的に学び、その過程で自ら新たな発見をし、次の好奇心へと繋げられよう心掛けているため、今回の授業の中で『〜だと知らなかった。』『こんな大変だったの?』と思える授業が実践出来たことを、嬉しく思います。
プリスクールの2歳児「ガリレオクラス」では、書初めに挑戦しました。
子どもたちに、日本のお正月遊びに触れてもらいたいと思い、書初めを選びました。また、墨に親しみ、墨で表現することを、ガリレオクラスの子どもたちと楽しむことができると思ったからです。
子どもたちは、初めて墨を使った遊びにチャレンジ。いつも遊んでるクレヨンと違って、同じところを塗ると穴が空いてしまうことにびっくりしながらも楽しんでいました。
2歳児の子どもたちだからこそ、文字などにこだわらず、墨で「描く」ことを楽しんでもらうことができました。予想以上に会話を広げながら描くことを楽しんでくれました。
10分以上も先生の隣りに座って、順番を待っていた子もいたくらい、何度もやりたがる子が多かったです。
墨は黒一色のため、色がなくては表現が制限されると思ったのは大人の思い込みでした。黒一色でもこんなにストーリーが出てきて、楽しめるのは子どもたちだからこそと、驚かされました。
日本のお正月の伝統を体験した子どもたちからは、先生たちが予想していた以上の反応が見られました。
“ただ体験してみる” “ただ遊んでみる”ではなく、子どもたちの何かを刺激する貴重な体験となりました。
子どもたちにとって、異文化の体験は、いい意味で“文化”にとらわれず、“新たな体験・挑戦”になったようです。そのため、“文化”という枠を超えて、子どもたちの感性や視野の広がりに繋がったはずです。
今回のお正月遊びでは、日本の文化とアメリカの文化がかけ合わさり、新鮮なものが生まれることもありました。先生たちにとっても、異文化理解の活動は、面白い発見に繋がるものになったようです。
11月にはサンクスギビングのイベントも行われました!
その様子はこちらより。