2025.11.26

YBSはインターナショナルスクールとして運営していますが、英語と日本語を公用語とするバイリンガルスクールです。世界で活躍できる力を育てるために世界基準のカリキュラム(ケンブリッジ認定校)を導入しつつ、「今ここにある日本」という場所への誇りと尊敬を大切にしています。
そのため、私たちは日々の学びの中に、日本の伝統や文化に触れる体験をたっぷり取り入れています。
ひな祭りや節分などの四季折々の行事、地域に息づく里山や伝統文化を守り続ける地域の方々との体験活動など、子どもたちは日本ならではの文化に実際に触れながら学びます。特に秋から新年にかけては、収穫祭やお正月の準備など、日本の伝統文化を濃く体験できる季節。自然や地域の人との関わりの中で、子どもたちの学びはより豊かになります。

YBSには日本人の子どもも在籍していますが、伝統文化の体験は多くの子どもたちにとって“初めて”の世界です。国籍に関わらず、みんなが同じように新しい発見をして、驚き、楽しみながら、日本の魅力を学んでいきます。
日本人が古来から築き上げてきた技術や知識は、世界に羽ばたき、注目されていることもたくさんあります。例えば、和紙はユネスコ無形文化遺産に登録され、海外の美術館や書籍の修復にも使われています。また、自然との共生を大切にした里山の文化は、サステナブルな暮らしのモデルとして海外でも研究されています。その他にも、日本が世界で誇る技術はたくさん思い浮かぶと思います。

今回は、実際にYBSエレメンタリーの5年生が体験した、日本の食文化「味噌づくり」。この体験を子どもたちのために企画した担任が、体験に対する想いを共有してくれました。
今回の味噌づくり体験には、いくつか大切な想いがありました。まず、子どもたちに日本の伝統文化への興味や好奇心を育んでほしいという願いです。「食」は毎日の生活と深く結びついているもの。味噌を入口に、自分たちが普段口にしているものや、その背景にある文化について考えるきっかけになればと思いました。
また、味噌という日本の伝統的な調味料について、知識として知るだけでなく、実際に触れ、作り、体験しながら学んでほしいという思いもありました。大豆をつぶす音、麹の香り、手のひらで感じる温度——そういった“本物の体験”を通して、発酵の仕組みや食文化の奥深さを、教室では得られない形で感じてもらいたかったのです。

さらに、自分の手で仕込んだ味噌を家に持ち帰り、家庭で発酵を見守るという経験も大切にしたいと考えました。時間をかけて育てた味噌を、完成後に家族と一緒に料理し味わうことで、「学び」が家庭の温かい時間へとつながっていきます。
実際の体験では、子どもたちはゆでた大豆をつぶし、塩や麹を混ぜる工程に挑戦しました。想像以上に力が必要で苦戦している様子も見られましたが、それ以上に楽しさとワクワクが勝っていたようで、笑顔が絶えませんでした。「どうして塩を入れるの?」「麹は何をしているの?」と疑問もたくさん生まれ、その場で教えていただくことで理解がどんどん深まっていきました。

そして何より、自分たちの手で作った味噌を大事そうに持ち帰る姿がとても印象的でした。これから数ヶ月かけてどのように変化していくのか、子どもたちはまるで“育てるように”味噌の成長を楽しみにしているようです。
ただの楽しい体験で終わらないのも、YBSならではの学びです。日本文化に触れ、新しい知識や感性を刺激することで、子どもたちの次の成長へとつながっていきます。