2023.11.23
食育基本法は2005年に創設された法律です。日本の未来を担う子どもたちが、豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくための、『食を営む力』の育成するためのものです。
食育基本法にある、7つの基本理念に基づいて、教育現場をはじめさまざまな分野で食育が実践されています。
参照:農林水産省「食育基本法」
食育基本法で提唱されている7つの基本理念に基づいて、食育の基礎を培うため、多くの保育園では、このような子ども像の実現を目標に、食育が実施されています。
・お腹がすくリズムのもてる子ども
・食べたいもの、好きなものが増える子ども
・一緒に食べたい人がいる子ども
・食事づくり、準備にかかわる子ども
・食べものを話題にする子ども
まとめると、食育では「楽しく食べる」体験・環境づくりが求められています。楽しく食事をすることは、豊かな情緒を育て、「生きる」ことの本質につながります。
幼少期の食にまつわる体験が、その後の人生にも大きく影響を与えることになるでしょう。
一般的に、保育園では給食を通して食育を行なっています。家庭で、子どもと食事をする時は、何かとバタバタしていて、ゆっくり子どもと食事を楽しむことが難しいのが現状ですよね。忙しい現代のパパとママだからこそ、食育を保育園に任せてみるというのはどうでしょう?
1日に1回だけでも、先生やお友達と楽しく食事ができる時間は、子どもにとってとても大切です。保育園では、家庭で完全にできないことを補ってくれるのです。
保育園の給食の時間は、食育の大切な時間とお伝えしましたが、YBS(横須賀バイリンガルスクール)には、給食がありません。
日本人とアメリカ人の子どもたちを中心に、いろんな国の子どもたちが集まるYBSでは、お弁当(ランチボックス)を持参してきてもらっています。
お弁当には、国や家庭の文化が反映されるところでもあるため、各家庭の食に関する“個性”も多様であって良いと考えています。
実際に、日本とアメリカのお弁当の内容は、全然違います。
例えば、
・サンドイッチ(ハム、チーズ、ツナサラダ、野菜など)
・ピーナッツバターとジェリーのサンドイッチ
・クラッカーとチーズ
・ポップコーン
・ベビーキャロット
・野菜スティックとディップ(ソース)
・みかん、オレンジ、ぶどう、イチゴ、ブルーベリー、りんご、バナナなどの果物
・ジュースボックス
など、日本のママたちが一生懸命作っている「キャラ弁」とは、ちょっとイメージが違うランチボックスです。
それでも、YBSではそれぞれの家庭の食に対する考えを尊重し、「食」についての違いを受け入れ、一緒に食べることを楽しんでいます。
とはいえ、日本の保育園だからこそ、食育基本法も忘れたくはありません。だから、ランチタイム以外のところでも、みんなが食を楽しめる活動を取り入れています。
子どもたちのランチは、家族が作ってくれるお弁当。作ってくれた家族に感謝をしながら、楽しく食事を楽しむことを大切にしています。アメリカには、食べる前に「いただきます」と言う文化はありませんが、日本の文化を大切に、みんなで一緒に実践しています。
季節の食べ物を味わうため、1、2歳児がスイートポテト作りに挑戦しました。サツマイモを袋に入れてつぶすという、1、2歳児でもできる食育を、先生たちが考え活動に取り入れています。自分たちで作ってみるのも、食を楽しむ1つの方法ですね。
「乾燥ワカメを水を入れると増えていく??なんでだろう?」という、食べ物の不思議を見つけて、疑問を一つ一つ解消。食卓に並んでいると、子どもたちは、もとはどんな形をしていたのかわからない食材もありますよね。小さなことでも、子どもたちにとっては大きな発見です。食についての興味と、新たな発見が学びにつながります。
日本のふりかけは、アメリカ人もハマる、人気の食べ物の1つ。にぼしやゴマをすりつぶす音や、香りを楽しんだり、すりつぶす難しさを感じたり。五感を使いながら、自分達で頑張って作ることを体験しました。
子どもたちが新しい挑戦や発見をする活動も大切にしています。野菜収穫体験もその一つ。今回行ったピタゴラスクラス(4歳)の子どもたちは、農家さんの話を一生懸命に聞いたり、土から引っこ抜いたカブや大根にびっくりしながらも達成感を味わっていました。自分たちで採った野菜を使ったクッキングプロジェクトでは、野菜が苦手な子どもたちも笑顔で食べることができました。新しい体験は、子どもたちの視野を大きく広げてくれます。
YBSの子どもたちは食育を通して、食への興味を広げながら、今私たちが安心して食べられる環境への感謝の気持ちを育んでいます。