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日本は多様性への理解が遅れてる?多様性の教育の違い

2022.5.20

多様性において、日本では、2019年の「ジェンダーギャップ指数」で先進国最下位を記録したり、LGBTQについての議論が政治や教育などの場でまだまだ避けられる傾向にあったりするなど、多様性への理解が遅れているとみられています。

 

そもそも、多様性とは何か?世界の他の国ではどんな取り組みや教育が行われているのか?オランダ・カナダ・イギリスで行われている多様性についての教育を比べてみました。

 

オランダ

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国籍、宗教、結婚、性、働き方、教育等々、多様性が存在する他民族国家オランダは、ユニセフが発表する「子どもの幸福度」の首位の常連です。

 

どのように、子どもに多様性を伝えていくことで、子どもの幸福度に繋がるのでしょうか?

 

オランダと日本の大きな違いの1つは、『結婚』への意識です。オランダでは、結婚以外に、カップルの関係性を法的に承認する手段として、「登録パートナーシップ」と、「同棲協定」という制度があります。

 

登録パートナーシップは、結婚と同様にカップルの間に権利や義務が生じるものです。一方で、同棲協定は、家賃や光熱費等の生活費はどう折半するのかをはっきりさせるため、パートナー以外にも共同生活をする相手と結べるものです。

 

さらに、オランダは、2001年に世界で初めて、同性婚を合法化した国であり、「結婚」「登録パートナーシップ」は、同性間でも結ぶことができます。また、オランダの義務教育では「性の多様性」を教え、国を挙げてLGBTQへの理解に取り組んでいます。

 

オランダは、一人ひとりの多様な価値観を認めてくれる制度が整っていることで、子どもたちも小さい頃から安心して、自分の意見を表現できるようになるのかもしれません。学校や家庭が『自分の意見や考えを認めてくれる』ということが、子どもの幸福度に繋がっているのでしょう。

 

参考:『「世界一子どもが幸せな国」オランダから学ぶ 日常の中の“多様性&フレキシビリティ”』

https://cocreco.kodansha.co.jp/general%2Ftopics/housework/9ubPe

 

カナダ

カナダは、ヨーロッパからの白人系移民が約7割を占め、毎年人口の約1% に当たる約30万人を移民として受け入れている国です。移民が自分の生まれ育った国の文化や宗教を尊重できる多文化主義の国といわれています。

 

また、2015年に就任したジャスティン・トルドー首相の内閣では、先住民の血を引く大臣や、アフガニスタン難民の閣僚、ゲイであることを公言している議員が大臣に任命されました。

 

移民が多く、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まる多様性の国で、子どもたちはどんな教育を受けているのでしょうか?

 

カナダの教育では、教科の垣根を越えた、先生独自の授業が多く行われます。先生が子どもにテーマを与え、プレゼンテーションやディスカッションによって、テーマの理解を深めていきます。また、子ども一人ひとりの強みや個性を伸ばすことに注力し、教育の場面から子どもたちの多様性への意識を育んでいます。

 

日本のように、教科書に沿ってみんなが同じ学習をするのではなく、子ども一人ひとりの興味や好奇心が育まれます。子どものうちから、自分の強みや個性を認められることで、他者の個性も認められるようになるのでしょう。

 

参考:『多様性の国カナダ 強みを徹底的に伸ばす教育』

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/1111123/072300006/

 

イギリス

アジア系、アフリカ系、ヒスパニック、白人と、多種多様な人種の人が同じ教室で学ぶ、ロンドン南部の中学校を舞台に、ドキュメンタリーのテレビシリーズ『The School That Tried To End Racism』が撮影されました。

 

そのドキュメンタリーの内容は、無意識のうちに自分とは異なるものや人に抵抗感を示す、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」について。生徒たちに「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」が潜在するかを探ります。

 

生徒たちは、「私たちの間に人種差別はない」と自負するものの、あるテストによって、「アンコンシャスバイアス」が存在することに気づきました。さらに、「アンコンシャスバイアス」を取り去るため、専門家の指導の下、生徒たちは3週間のプログラムに挑戦することに。

 

この番組の中の授業で、先生が生徒たちに伝えたのは、私たち人間のDNAは、99.9%が一致するのだということでした。たった0.1%の違いで、人種間の問題が生じていることを先生が言及し、生徒たちにとっても人種差別について改めて考えるきっかけとなったようです。

多様な人種の人が関わっているからこそ、人種差別を自分ごととして考えられるのは、恵まれた環境といえるかもしれません。私たち人間は、実際に体験してみないとわからないことが多いものです。その上で、人種差別があってはならないことを子どもたちにも理解してもらいたいですね。

 

参考:「子どもに「多様性」をどう伝えていますか?世界の教育番組がヒントになるかも…」

https://www.huffingtonpost.jp/entry/japanprize02_jp_5f968f6fc5b673c608256db1

 

日本

 

上記の国に比べて、日本はほぼ単一の民族で、同じ言葉を話し、似たような視点・価値観を持っていますよね。それゆえ、空気が読めないと、周りから白い目でみられることも…。話さなくても分かり合えるのは、日本人の素晴らしいところでもありますが、新しい価値観を受け入れることは難しくなります。

 

これから世界では、さらに多様性が求められると言われている中で、世界で活躍できる子どもになるためには、様々な価値観に触れることは欠かせません。

 

言葉の違いや文化の違いを入口として、自分とは違った価値観に出会うことで、子どもたちの世界も広がっていくでしょう。それは同時に、相手の立場に立って考えるという、思いやりの心を育てることにも繋がります。

YBS(横須賀バイリンガルスクール)では、多様な文化や言語の子どもたちが共に学び、共に遊ぶ環境があります。大人が教えなくても、子どもたちは遊びの中で、自分と違っていても、お互いに認め合うことを学んでいきます。

横須賀バイリンガルスクールでは、1人でも多くの子どもが将来、世界で活躍できる大人になってくれることを願い、日本語と英語を使った独自のカリキュラムを取り入れています。

 

高梨はるな

 

大学卒業後、オーストラリアに渡り海外生活を経験し、オーストラリア人の人生を楽しむ国民性に影響を受ける。帰国後、会社員を経て、自由で自分らしい働き方を実現するため、フリーランスでライター・動画クリエイターとして活動。受け取り手に寄り添い、共感性を大切に発信している。